読了:ジャック・フォスター『アイデアのヒント』(CCCメディアハウス、2015年〔初版:2003年〕)
ジャック・フォスター『アイデアのヒント』を読了した。内容はぎっしり詰まっているが、すらすらと読み進められる本であった。各章ごとに「例え」を示した上でノウハウが述べられるため、非常に理解しやすい構造になっている。
本の中では前回記事で書いたジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』について度々触れられ、彼の「アイデアとは既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない。」という言葉は目次前の扉にも記されている。
『アイデアのつくり方』を基礎としつつ、この本にもアイデアを生み出すためのヒントが様々述べられている。その中でも、とりわけ印象に残ったものについて取り上げたいと思う。
「その気」になろう*1
著者は、アイデアを手に入れたいのなら「その気」になれ、と述べる。つまり、「自分がアイデアを手に入れたイメージ」を思い浮かべろということである。自分の心をコントロールし、そのことで肉体までをもコントロールする。
「きっと自分は、アイデアを手に入れられるだろう」という曖昧なイメージではなく「自分は既にアイデアを手に入れた」という結果を想像するのである。発展して、そのアイデアの提示により周りから称賛され、報われた自分をも思い浮かべる。そうすれば、それは自ずと現実になるであろう、という考えである。
子供に戻ろう*2
この章で著者は、すぐれた創造力とは子供に戻る能力であると述べる。
子供は好奇心旺盛であり、無垢で、自由である。自分の限界を知らず、常識すら関係ない。その性格故、大人が普段気にも留めない、もしくは無意識に見逃してしまっているようなことに疑問をもち、どこまでも質問をする。
どれだけくだらないと思えることでも、もう一度クエスチョンマークに戻ることにより新たなアイデアに繋がるという。人は誰しも自分の中に一定のイメージや常識を持っているが故に、創造力が邪魔されてしまう。だからこそ、もう一度子供に立ち還って創造力を豊かにするのである。
笑われることをおそれるな*3
創造性の豊かな人は、誰もが勇気と好奇心の二つの特徴をもつと述べる。好奇心に関しては前述の通りだが、勇気とはどのようにして持ち得るのだろうか。アイデアを発表したら、相手に冷笑されたり馬鹿にされたりする可能性はある。それらを無視するための勇気を持つために、著者は以下のような五つのポイントを挙げている。
1.誰だってこわい
2.まずいアイデアなんてない
3.いつだって別のアイデアを思いつくことはできる
(そっちのほうがもっといいかもしれない)
4.アイデアの出しすぎで批判された人はいない
5.アイデアを考え出すのは素晴らしい冒険だ
自分が考え出したアイデアを提示するのは怖い。しかし、それだけではない。そのアイデアを冷笑したり批判したりする人々も、「新たなアイデア」が「怖い」のである。
そして、ダメなアイデアなど無い。それを「失敗」として後悔するのではなく、新たに別のアイデアに繋げられないかと考えるべきである。
アイデアの出しすぎで批判などされないのだから、どれだけつまらないアイデアでも、とにかくたくさん考えることが大切である。
さて、ここまで印象に残った3つの章を取り上げてきた。そして、この中でも最も私が心を打たれたのが「笑われることをおそれるな」である。自分が人の目を気にし過ぎる性格故、やはり自分のアイデアを出すというのは非常に恐ろしい。時には、思いついたことを「くだらない」「批判の対象になる」と考え引っ込めてしまうことも多々ある。しかし、仮にそのことで本当に批判を食らったとしてもそれを失敗としてくよくよしないで次のアイデアに繋げれば良いのである。
そして、普段からたくさんのアイデアを生み出していけば良い。中には自分でも笑いたくなるほどの「くだらない」アイデアだってあるだろうが、それすらも留めておく。アイデアをたくさん出して悪いことなどない。あるアイデアが別のアイデアに繋がることもある。優れた「アイデアマン」を目指すためにも、まずはアイデアを堂々と出していけるための「勇気」を身に着けたいものである。
- 作者: ジャックフォスター,青島淑子
- 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
- 発売日: 2003/01/10
- メディア: 単行本
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