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加藤昌治『考具』(CCCメディアハウス、2016年〔初版:2003年〕)読了

企画 読書

加藤昌治『考具』(CCCメディアハウス、2016年〔初版:2003年〕)を読了した。タイトルにもなっている「考具」の使い方、目的を探っていく内容となっている。

 

「考具」とは*1

「考具」はアイデアと企画を生み出すための知的道具。

 

本書ではまず著者が計21個の「考具」を提示し、その後「自分だけの考具」を探す段階へと移ってゆく。以下、とりわけ印象に残った「考具」について述べていこうと思う。

 

考具その2「聞き耳を立てる」

イデアのヒントを得たいがために、誰かと話そうとする人は多々いる。しかし、いつでもその時間が取れるわけではない。そこで有効なのが、この「聞き耳を立てる」ことである。著者はこれを、「間接的なインタビュー」*2と言い換えている。

 

日常生活の中で、敢えて人の話を聞かずとも何かと耳に入ってくる会話は非常に多いのではないか、と思う。Twitterに「今日電車でこんな会話をしていた2人組が居て~」というような呟きが上がるのはよく目にする光景である。1人で居る時はとりわけ、他人の会話というものが情報として頭の中に入って来やすい。無意識の内に、その言葉遣いやニュアンスも捉えているであろう。

 

著者も述べているように、そのような時間は「肌感覚」が強く、「自分で体験した」という強みが生まれる。このことで説得力が生まれる。人の話を聞くということは、「他の誰かの生活をほんのヒトコマでも共有」することである。

 

考具その8「ポストイット

11月~12月にかけていくつかのセミナーを受けたのだが、とにかくポストイットを使う機会が多かった。ポストイットにアイデアやキーワードを書き、決められた順番に沿って並べていくという作業である。しかし、何かと「順番」ということを考えすぎて混乱してしまうこともよくあった。

 

ここで著者は、「アイデアを考えることに、正しい順番はない」*3と述べる。真面目な人ほどポストイットを全て書いてから次のステップへ、と順番を踏んでしまう。それを、途中で止めてしまって良い、と言う。そして、以下のように述べる*4

 

どうやらわたしたちがこれまで受けてきた教育はかなり一直線的なパラダイムに支配されているようです。順番をしっかり守るパターン。しかし「考える」という知的作業は、その反対。行きつ戻りつすることが頻繁に起こります。行きつ戻りつの試行錯誤がない企画もまたパワーがないのです。

 

ちょっとした時間にアイデアをメモしておき、情報を整理している時に突然アイデアが浮かんでくる。アトランダムな頭の働きに慣れることで、パワーのあるアイデアが生まれる。とにかく、順番は気にせず、1つのアイデアから何かを思いついたらそちらの方へ突き進んで良いのである。

 

考具その20「アイデアマラソン

自分が思いついたアイデアをどこかに記録しておくということは重要であるが、普段スマートフォンのメモアプリに咄嗟に打ち込んだり、手帳の端にメモしたりと何かと後から見返さなくなってしまうことが多い。

 

著者は、「自分が生み出したアイデアをノートに書いていく」、その上で通し番号を振り、その通し番号とアイデアマラソンをスタートした日からの通算日との差を計算して記録せよ、と言う。これを毎日積み重ねていくことで、数字が増えていく嬉しさや達成感を味わうことができる。

 

イデアは数が勝負である、というのはよく言われることであるが、上記の方法を取ることで非常に分かりやすく自分の出したアイデアの数が分かるのではないだろうか。本当にくだらないことでも、ほとんどが実現しないことでも、自分がこれまでに出してきたアイデアの「数」というのは自分自身の強みへと繋がってゆく。

 

おわりに

図を用いた解説も多く、非常に読み進めやすい本であった。そして何より、本書の最後の最後に書かれた著者の言葉にはっとさせられ、身が引き締まる思いであった。その言葉を引用してこの記事を終わろうと思う*5

 

考具はあくまで道具で、肝心なのは考具を使いこなそうとする頭の働き、おそらく本当の考具の達人は、全く手ぶらなのかもしれない・・・・・・ですね。

 

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

 

 

*1:『考具』(CCCメディアハウス、2016年〔初版:2003年〕)p.16。

*2:前掲『考具』p.56。

*3:同前、p.103。

*4:同前。

*5:同前、p.234。