読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アイデア分析④

アイデア分析 マーケティング

前回に引き続き、仮想のサービス案についてアイデア分析を行う。今月は、上田拓治『マーケティングリサーチの論理と技法〔第4版〕』(日本評論社、2016年〔初版:1999年〕)を参考にする。

shika16.hatenablog.com

 

サービス案

サービス名:「30s」(仮)

形態:スマートフォンアプリ、Webサイト

料金:無料(一部有料)内容:アーティスト側に曲、または動画の「聴いてほしいところ」の30秒を切り取ってもらい公開する。アーティスト側にとっては一番聴いてほしい部分を手軽に伝えることができ、リスナー側にとっては自分で飛ばす手間なく聴きたい部分を手軽に聴けるという「いいとこどり」のメリットがある。

 

どのような調査が可能(適切)か

今回は、上記サービス案に対してどのような調査が適切であり、可能であるかを探ってゆく。それに当たり、前回挙げた「9つの質問」を今一度振り返っておきたい。

 

9つの質問

Q.1 「30s」にご満足いただけたでしょうか?また、その理由をお教えください。 

Q.2 最もご満足いただいた点は何ですか?また、その理由をお教えください。

Q.3 最もご不満だった点は何ですか?また、その理由をお教えください。

Q.4 音楽試聴アプリ・サイトについて、どのような印象を抱いていましたか?

Q.5 「30s」をご利用いただいた一番の理由をお教えください。

Q.6 「30s」をご利用いただく時、またはその以前に他の音楽試聴サービスも検討(利用)されましたか?よろしければサービス名等と、その理由をお教えください。

Q.7 「30s」をご利用いただく時、またはその以前に音楽ストリーミング配信サービスも検討(利用)されましたか?よろしければサービス名等と、その理由をお教えください。

Q.8 「30s」をどこでお知りになりましたか?

Q.9 誰かに「30s」をオススメする可能性は何点でしょうか?(0~10点で評価) 

 

プリコード回答

上記の9つの質問は基本的に「自由回答方式」を推奨しているため、ここでは「プリコード回答を用いて回答者(ユーザー)の本音をより引き出すためにはどうすれば良いか」ということについて考える。

 

(1)二分法:「はい」か「いいえ」いずれかで答えてもらうもの・・・〇

→9つの質問の中ではQ.1、Q.6、Q.7に当てはまる。ここでの回答に因って後の質問への回答も各々異なってくるため、ユーザーに対する調査の最初のアプローチとしては欠かせないものであろう。

 

(2)指示に従い、当てはまる回答カテゴリを1つまたは複数選択してもらうもの

①SA(Single Answer):1つだけ選択・・・×

→上記質問中には無いものであるが、回答者の自由でありのままな意見を引き出すためにも複数選択にすべきではないだろうか。

 

②MA(Multiple Answer):複数選択(制限なし)・・・△

→制限が存在しないためSAよりもより自由な回答は得られると考えられるが、あまりにも多くの回答を得た場合アフター・コーディング作業を含めたアウトプットに時間がかかってしまう。効率化を求めるためにも、複数選択とはいえ制限を設けても良いのではないだろうか。

 

③LA(Limited Answer):数を制限して複数選択・・・〇

→「最も近いものを3つまで選択してください」等、数の制限を設けることでMAよりも自由度は下がるものの、ある一定の自由度を保ちつつ回答者がより考え抜いて出した回答を得ることができる。

 

④「態度評定尺度」:回答者の意見や態度を測定するための尺度・・・〇

→9つの質問にもいくつか取り入れられている。プリコード回答の中では比較的自由度が高く、また手軽に自分の意見を取り入れやすい回答方式であると考える。しかし、この「態度評定尺度」による質問が続け様に為されると回答者への負担がかかり本音を引き出せない回答(適当に選んだ回答等)が得られることになる可能性もあり得る。そのため、全体のバランスを考えながらこの質問方式を用いていくべきであると考える。

 

また、「態度評定尺度」を用いた質問の中でも「強制選択尺度」(「どちらともいえない」という選択肢の排除)はかなり慎重に用いるべきであると考える。「どちらともいえない」という回答自体曖昧なものであるが、何より回答者が選びやすいものでもある。回答者の自然な心理状態を保つためにも、「どちらともいえない」という拠り所を排除するのはあまり好ましくないと言えよう。

 

自由回答方式

これに関しては、読んで字の如く最も回答者の意見を自由に引き出せるものであろうが、やはりどうしても文章が理路整然としてしまったり、ないしは文章を短く済ませようとするなど本音から遠ざかる可能性は捨てきれない。回答欄は短すぎず長すぎず、バランスの良いものを設けるのが適切であろう。

 

質問

以上から、改めて「30s」ユーザーに対する質問を考える。

Q.1  「30s」にご満足いただけたでしょうか?

①「はい」 ②「いいえ」 

 

Q.2  Q.1で①「はい」とお答えいただいた方へ質問です。ご満足いただけた点は何ですか?最も近いものを以下の選択肢から3つ選んでください。また、その理由をお教えください。(LA選択肢及び5行程度の自由回答欄)

 

Q.3 Q.1で ②「いいえ」とお答えいただいた方へ質問です。ご不満だった点は何ですか?最も近いものを以下の選択肢から3つ選んでください。また、その理由をお教えください。(LA選択肢及び5行程度の自由回答欄)

 

Q.4 音楽試聴アプリ・サイトについて、どのような印象を抱いていましたか?

非常に便利―便利―どちらでもない―不便―非常に不便

 

Q.5 「30s」をご利用いただいた一番の理由をお教えください。(5~10行の自由回答欄)

 

Q.6 「30s」をご利用いただく以前に他の音楽試聴サービスも検討(利用)されましたか?よろしければサービス名等と、その理由をお教えください。(MA競合サービス選択肢及び5行程度の自由回答欄)

 

Q.7 「30s」をご利用いただく時、またはその以前に音楽サービスも検討(利用)されましたか?よろしければサービス名等と、その理由をお教えください。(MA同一カテゴリ代表サービス選択肢及び5行程度の自由回答欄)

 

Q.8 「30s」をどこでお知りになりましたか?(MA選択肢)

 

Q.9 誰かに「30s」をオススメする可能性はどれくらいでしょうか?

非常に薦めたい―薦めたい―どちらでもない―薦めたくない―絶対に薦めたくない

 

おわりに

先月読了した『9つの質問』の解釈と、今月読了した『マーケティングリサーチの論理と技法』ではまた細かいところで解釈が異なっており読んでいて興味深かった。今回改めて質問を練り直し、Q.8の「顧客接点」質問を敢えて自由回答方式ではなくMA選択肢式にしたのは、ある程度接点(選択肢)を絞ることができることに加え、それまでの設問で「自由回答方式」が多くなりすぎていたためである。

以前の9つの質問よりも自由回答方式は最低限にまで抑えた状態になっているため、全体のバランスを取るためにも一部改変を行った。ユーザーの「本音」を引き出すというのは非常に難しい課題であるが、全体の設問のバランスを考えるというのもユーザーの心理状態を平静に保つ上では重要なことであろうと考える。

 

参考

マーケティングリサーチの論理と技法 第4版

マーケティングリサーチの論理と技法 第4版

 

 

顧客の「本音」がわかる9つの質問

顧客の「本音」がわかる9つの質問