読了:ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』(廣済堂、2016年〔初版:1988年〕)
先月、ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』を読了した。
非常に小さく薄い本であるが、企画ないしはアイデアを生み出すための基礎が詰まっていた。著者はアイデアの作られる過程を以下の五段階に分けている*1。
第一 資料集め―諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
第三 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
第四 アイデアの実際上の誕生。〈ユーレカ!分かった!みつけた!〉という段階。そして
第五 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。
非常に単純明快でスマートな五段階にまとめられている。当然のことのように思われるが、第一段階の資料集めには少々はっとさせられた。いつも何かアイデアはふっと湧いても、それは自分の中にある知識から生まれるものであり、言い換えればその知識のみに限られている。より豊かなアイデアを生み出すには、資料集めによる知識の蓄積が必要となる。そのことで、視野が広がるのだと考えられる。
この本を読んでとりわけ印象に残ったのは、「心を訓練すること」*2と「既存の要素を組み合わせること」*3である。
前者は、アイデアを生み出す上で一番大切なことは、前述のようなアイデアが作り出される方法に心を訓練することであると述べる。心を訓練することにより、自分の中にある創造力、その才能を伸ばすことができるのだという。加えて著者は、すべてのアイデアの源泉にある原理にも言及する。
その原理こそ、後者の「既存の要素を組み合わせること」である。即ち、「アイデア」=「既存の要素の新しい組み合わせ」と定義している。その「新しい組み合わせ」を見出すには、事物間の関連性を見つけ出す才能が大きく関わってくる。
私はいつも何かアイデアを生み出そうとする時、何かと「0」の状態から考えねばならないと心を焦らせがちだが、「既存の要素」という「1」からのスタートと考えれば、自ずと心は落ち着き思考を巡らせることができるであろう。そのためには、物事と物事の間の関連性を見つける目を磨き、光らせていくことを意識していきたいと強く思った。
- 作者: ジェームス W.ヤング,竹内均,今井茂雄
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
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