読了:フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』(朝日新聞出版、2014年〔初版:2010年〕)
先月読了した『コトラーのマーケティング3.0』。本書では、主に2010年にフィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング3.0」について述べられている。「ソーシャル・メディア時代」について、私たちが慣れ親しんでいるSNS等のサービスを例示して解説されており非常に分かりやすい。また、イメージ図や概要をまとめた表が要所要所に組み込まれているため大変理解しやすいものとなっている。主にアメリカにおける情勢を元に述べられたその歴史は、自分が同時代の人間になったかのような感覚で追っていくことができる。
「マーケティング」という言葉こそ知っているが、その本質を理解していなかったため本書の知識はこれからの自分にとって役立つものであると確信を持って読み進めることができた。
著者は、「マーケティング3.0」は以下3つの構成要素をもつとする*1。
①協働マーケティング・・・参加の時代
③スピリチュアル・マーケティング・・・創造性の時代
マーケティング3.0は消費者の行動や態度によりマーケティング手法が大きく変化する段階である。消費者が協働的、文化的、精神的になるにつれマーケティングの性格も変化していく。つまり、より洗練された消費者中心の段階と言える。
本書はここからマーケティング3.0のより詳しい解説に移っていくが、私がとりわけ心を打たれたのは「第3章 消費者に対するミッションのマーケティング」にて述べられた以下の言葉である*2。
優れたミッションの策定は、大きな違いをもたらし得る小さなアイデアを見つけることから始まる。ミッションが先にくるのであり、金銭的見返りは結果としてついてくるものであることを忘れてはならない。
私は、将来的に優れた企画を生み出し得るアイデアマンになりたいと考えている。もちろん数字も大切ではあるが、そのような「金銭的見返り」よりもまずは「ユーザーに長く愛される」ためにできることを考えたい。ユーザーを感動させるだけでなく、何年も何十年も愛され続けるようなサービスを生み出していきたい。このような信念を持っているだけに、上記のコトラーの言葉は改めて身の引き締まる想いがした。
コトラーは本書において「マーケティング3.0の一〇原則」*3を掲げている。その中でも特に私が大事にしたいと感じた原則を挙げ、この記事を締めたいと思う。
原則1 顧客を愛し、競争相手を敬う
顧客、つまりユーザーを愛するのはもちろんのことであるが、「競争相手を敬う」ことの大切さについて改めて思い知らされた。何かとライバルというものは敵視したくなるものであるが、じっくり観察することで相手の強み・弱みだけでなく自社の強み・弱みを知ることができる。ライバルを尊敬してこそ、競争力を高めていくことができるのである。
コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
- 作者: フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン,恩藏直人,藤井清美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/09/07
- メディア: 単行本
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